テーブルと椅子の最適な高さとは
食事中や仕事中に、何故か座りづらい、疲れると感じたことはありませんか?それは、使用している椅子とテーブルの高さのバランスがとれていないからです。テレワークで椅子に座り仕事をする時間も増えた今こそ、使用している椅子とテーブル(机)の高さの見直しをしてみましょう。この記事では、理想とする椅子とテーブルの高さやその計算法、バランス調整の仕方について説明しますので、ぜひ参考にお読みください。
基本となる使いやすい高さとは
座っているのに疲れる、腰や首が痛い、座り心地も悪いなどの悩みはありませんか?テーブルと椅子の高さのバランスはとても大切です。目的により微妙に異なる両者のバランスですが、最適な高さであるかどうかで居心地の良さや使いやすさが大きく左右されます。このちょうど良いバランスこそが、「差尺(さじゃく)」です。新しく買い替えを考えているならば、快適さと健康を保つためにも、この差尺に重点を置き両方の高さを決めると良いでしょう。まずは、差尺とその目安の計算式を説明します。
テーブルの高さ毎の理想的な椅子の高さ
使いやすさは差尺で決まります。差尺とは、テーブル天板と椅子の座面までの高さです。
目安計算式は
【差尺=身長×0.55÷3】
・身長×0.55は座高
・パソコン使用時は、ここから(−2または−3cm)。差尺が短くなり、キーボードを扱う手元が低くなってタイピングがしやすくなるためです。
この計算式に当てはめたときに、差尺の値が28〜30cmとなるのが最適とされています。しかし、あくまでもこれは基本的な値です。人それぞれ好みや使用目的に違いがあるため、誰にとっても最適であるとは限りません。もしも、今お使いのものに違和感を覚えるのであれば、1度この計算式に当てはめて差尺の確認をしてみてはいかがでしょうか。
日常で使用する際の理想のバランスは、日本オフィス家具協会では「テーブルの高さに関して肘が90度を保てるか、高さは72cm」とされています。
その理由は以下の3つです。
①日本人の身長が伸び、背の高い外国人の雇用が増加しているため
②オフィスで使用する標準書類がA4に統一され、それまで推奨されていたテーブルの高さ70cmでは引き出しの幅が浅くなり、収納がしにくくなったため
③身体障害者の雇用で、オフィスでも車いすに対応できるようにしたため
この3つの理由により、テーブルの高さの理想は70〜72cmとなりました。
上記はあくまでも、仕事や日常で使用する際に使いやすいとされるテーブル高です。個々の身長も違えば、人によって使う目的も異なります。使用者に合わせた一番使いやすいバランスにするためには、まず自分に合った椅子を見つけることが重要です。さらに、差尺を参考にしてテーブルを選ぶのがベストです。
理想的なテーブルと椅子のバランス表
前項で紹介の差尺に基づいたバランス表を記します。
テーブルの高さ |
椅子の座面の高さ |
65cm |
33~37cm |
70cm |
38~42cm |
75cm |
43~47cm |
80cm |
48~52cm |
85cm |
53~57cm |
90cm |
58~62cm |
*差尺はいずれも28〜32cm
上記は、差尺を参考にして表しています。テーブルが65cmであれば、椅子の高さは33~37cmがちょうど良いサイズとお考えください。
使いやすさの目安に続き、ここからは椅子を選ぶ際のポイントについても触れておきます。基本的な椅子の高さは、地面から36〜45cm程度が理想とされています。身長差もありますが、座った状態で足裏全体が床に接しているかどうかを確認してください。この時に、かかとが浮いていると、椅子が高過ぎといえます。
座面と膝先が平行、もしくはわずかに高いほうが良く、座っていても違和感がほとんど感じられません。しかし、「気に入った椅子を見つけたのに少し低めであった」などということもあります。そのような時には、クッションや座布団などで調整してみると良いでしょう。それで少し足が浮くようであれば、足置きを使うなどの方法を試してください。
クッション性がある椅子は要注意
椅子の座面にはナチュラルな天然木をそのまま使用した硬めの素材や、クッション性の柔らかい素材があります。差尺を計算するときに気をつけたいのは、クッション性のある椅子です。座ると座面が沈み、高さを測るのが難しくなります。
椅子は形状により、前方に向かってやや高くなっているものがほとんどです。一般的なカタログに記載されているSH(シートハイ)では、椅子の前方中央の一番高い点を指しています。差尺の目安になるのはSHではなく、座位基準点です。座位基準点とは、座った状態で体重を支えている部位のことで、クッション性の椅子はこれを定めるのが難しくなります。個々の体重でも変わるため、クッション性の椅子の場合は座位で体の沈み込みが止まった位置を基準とします。
ここまでで説明した差尺が適さないケースを紹介しましょう。
・カフェやレストラン
・ロビーやラウンジ、リビング
・バーカウンター
などです。
リビングのソファは、深く腰掛けてリラックスする場所です。テーブルでなにか作業をする必要もないため、ソファに座ったままで手が届くような高さが適切とされています。差尺は、使用シーンによってぴったりな高さがあるものです。
バランスの取れた差尺で座った場合
テーブルは使用する場所や目的によってさまざまなタイプがありますが、どのような高さのものを選んだとしても、バランスが良ければ使いやすく、快適さも抜群です。
例えば、食事の際に椅子が高すぎると、テーブルと腕の間に距離ができてしまい、料理が取りにくく、腕も疲れてしまいますね。文字を書くときも同じで、書きづらく、前かがみになってしまいがちです。逆に椅子が低すぎると顔が机に近づきすぎて、姿勢が悪くなってしまいます。
つまり、差尺が大きいとテーブルが高すぎる、または椅子が低すぎる。反対に差尺が小さいとテーブルが低すぎる、または椅子が高すぎるということになります。最適な差尺の値から離れていくほど、使い勝手が悪くなり、体に負担がかかります。差尺がそれぞれの行動や作業、目的を行うために、ベストなバランスになっているのかどうかはとても重要な点です。
テーブルと椅子の高さのバランスが合わない時
どれだけ探しても、差尺が合って気に入ったデザインが見つからない、またはすでに使用しているものがしっくりとこない。そのようなことはありませんか?
デザインだけで椅子とテーブルを選んでしまうと、後悔することがあるかもしれません。テレワークが増えたことで、より一層椅子に座ってパソコンに向かう時間が長くなりました。人間工学に基づいて作られた椅子は、高機能であるとともに、正しい姿勢をサポートしてくれるものです。
それも、高さのバランスが合っていなければ体調不良を起こすおそれがあります。「ただ座っているだけなのに?」と感じるかもしれませんが、それだけ高さのバランスは大切なのです。
高さのバランスが合わないと起きる問題
机と椅子の高さがミスマッチであると、身体への負担が大きくなってしまいます。足のむくみや疲労感、また前かがみな状態が続くと猫背になりがちです。これらの症状が出てから不調に気付く人も少なくありません。立っているよりも、座っているほうが楽だと考えている方もいますが、実はそうでもないようです。
座った姿勢は背骨が自然なS字を保てずに、内蔵に負担がかかってしまっています。そのため腰への負担が大きくなってしまうのです。その他にも、身体に起きる不調は数多くあります。一例を紹介しましょう。
・肩こり
特に多いのが肩こりです。長時間同じ体勢でいると、首や肩にかなりの負担がかかっているものです。パソコンのタイピング時に肩を持ち上げた状態が続いていませんか?理想の姿勢は上腕を床に対して水平に落とした時、肘を90度に曲げた状態です。
・緊張型頭痛
肩こりからくると言われる緊張型頭痛は、無理な姿勢で長時間パソコンを使用した際に症状が現れます。これは緊張した筋肉に疲労物質がたまって、神経が刺激された結果、起きる症状です。疲れたと感じたら適度に休憩を取り、体や脳をリセットすることが大切です。手首にも負担がかかり、腱鞘炎になる可能性も考えられますので、注意してください。
・腰痛
デスクワークなどで、腰を後ろへ反った姿勢(反り腰)を取り続けると、腰痛を引き起こす原因になります。腹筋が弱いと体は前へ傾きますが、体はそれを防ぐために無意識に腰を反らせて、後ろへ重心をかけバランスを取ろうするからです。これも、やはり椅子の高さがあっていない可能性が考えられます。
椅子に浅く腰掛けて作業をすると反り腰になる可能性があります。反対に深く腰掛け過ぎても猫背になり、姿勢が悪くなってしまうものです。良い姿勢を取っていたとしても、長時間同じ体勢は保てません。左右どちらかに体の重心を傾けるようになってきたら、体が疲れてきた証拠です。その時はすぐに手を止めて、ひと息つくと腰痛防止になります。
・血行不良
椅子が高すぎると起こるのが、血行不良です。この時、足は床についておらず、浮いた状態になっています。足先が浮いたままだと血の巡りが悪くなり、冷えやむくみの原因になります。脚のふくらはぎの筋肉は、体中を巡る血液が末端の足先まで来たのを、心臓へ押し戻すポンプの役割をしています。しかし、血行不良となると、押し戻すことができなくなり、足がむくんだ状態になってしまうのです。
いくら最適なバランスの高さであっても、適度な休息が必要です。座り続けてばかりではなく、できれば30分ごとのストレッチを行うようにしてください。首を回してコリの解消、また腕や足を伸ばしてむくみの解消や、体を動かして全身の筋肉をほぐすなどして、体調不良を引き起こす原因を取り除きましょう!
テーブルと椅子の高さを調整する方法
もしも、高さが合っていないと気づいたら、テーブルもしくは椅子のどちらかを調節しましょう。椅子を高くしたいのであれば、クッションか座布団を使用してください。これだけで5〜10cmは高さを調整ができますね。ドーナツ型の円座は中央にくぼみがあって座りやすく、お尻がフィットして姿勢もよくなるためおすすめです。
椅子ごと高くしたいのであれば、足の底部分にフェルトを貼って調整できます。高くしたい分だけ重ねれば良く、微調整ができるので便利です。テーブルに貼り付けてもOK、床にも傷がつかずに済みます。
外国製の家具を購入する際は、高さに注意してください。外国では日本と違い、家の中で靴を脱ぐ習慣がありません。そのため、テーブルも椅子も靴を履いたまま使用するように設計されています。そのため、日本人にとっては少し高めに感じるでしょう。家具を購入する店舗に相談すれば、脚をカットできる家具もあるかもしれませんが、その場合デザインが変わる可能性があります。それは、もったいないものですね。それであれば先ほど紹介した方法で、高さの調節をしたほうが得策かもしれません。
また、家族で囲むダイニングテーブルの高さを調整するとなっても、誰か一人の身長に合わせるわけにはいかないでしょう。その時は、個人個人に合わせた椅子を用意するという方法があります。全員デザインが違っているのも、個性があっておしゃれではありませんか?それぞれが好きなデザインの家具を選べば、きっと大切に使ってくれるでしょうし、みんなで集まる時間が増えそうですね!
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